飲食店開業専門の厨房屋が提案する厨房機器
飲食店開業時に揃えておく厨房機器
皆さんは業務用の厨房機器というと、どのような物を思い出すでしょうか。
業務用の厨房機器はセンスのある家庭用の機器類に比べ見た目は劣りますがシンプルな形状をしていて耐久性にも優れています。
材質に関しましては錆に比較的強いステンレス製が主流です。
熱機器は強火力、冷機器は冷却スピードも早く機器本体の大きさも家庭用機器と比較しても大きい為、床に直接置く形状の商品が多いです。

ガステーブルや製氷機、食器洗浄機など、電気、ガス、水道を必要とする製品と、作業台や棚など電力やや熱源を必要としない製品があります。
必ず必要な3つの製品
飲食店を開業する際には、保健所の立ち会い検査が必要です。
保健所の許可を取るためには、必ずなくてはならない物が3つあります。
それは
- 手洗いシンク
- 2槽シンク
- 扉付きの食器棚
です。
※地域に依って異なる場合もありますので各自治体の指導に従って下さい。
厨房機器にはそれぞれ明確な目的があります。
手洗いシンクは、厨房に入る時に汚れた手を清潔にする為の厨房機器です。
単独の手洗い専用シンクが必須で例外を除き2槽シンクとの兼用は出来ません。

2槽シンクは、汚れた皿を洗うために使います。
片方のシンクに洗剤を含ませたお湯をため、汚れた食器を浸けて食器を洗います。水が張られていないもう一方のシンクで洗った泡を濯ぐのに用います。
そのために2槽シンクが義務付けられています。
また、2槽シンクにはお湯が出るカランの設置が義務付けられています。これは冷水よりお湯のほうが汚れを素早く落としてくれる為です。
食器棚は、洗いあがった綺麗な食器類を、収納する為の厨房機器です。
重要なのは、扉がついていることです。
扉の付いた棚に収納することで油煙やほこりを防ぎ、キレイな状態で食器を保管できるからです。

これらから分かるように、飲食店として真っ先に求められるのは、美味しさや、サービスではなく、安全性や衛生面です。常に清潔な厨房を保つことを常に心掛ける事が必要です。
厨房機器の種類
料理を作って、お店を運営する観点からも、3つの種類に分けられます。
ひとつは熱調理機器です。
ガステーブルやフライヤーなど、その名の通り、料理を作るために必須の機器です。
2つめは、冷蔵機器です。
食材を冷蔵、冷凍保存するための機器ですが、家庭用と比べて大型で機能的な商品が多くあり、冷蔵庫内に人が入れる位の製品もあります。プレハブ冷蔵庫やチャンバー等と呼ばれています。
また、冷蔵機能はありませんが製氷機も冷機器に分類されます。

ステンレス製の機器も重要です。
汚れた食器を洗うシンクや作業台、棚などがあります。
安価なスチール製の製品もありますが、サビに強く耐久性のあるステンレス製を強くお薦めします。
ステンレス製品は錆にくいですが塩水に触れるとすぐにさびてしまいます。ステンレスにも幾つかの種類があり一般的なのは430といわれる材質です。塩水に強い304という商品もありますが極めて高価です。
設備の重要性
厨房設備とは、厨房機器を正しく動作させるために必要な、ガス、電気、水道のことを指します。また、広い意味では厨房内の排水設備、空調設備、換気設備など多岐に渡りますが今回は水道、電気、ガスの説明をさせて頂きます。
ガスには大きく分けて2種類ありプロパンガス(LPG)と都市ガス(13A等)が主流です。
ガス機器には、プロパンガス専用と都市ガス専用があります。
外観は全く同じでもガスの種類が違う場合は使用出来ませんので購入する際はガス種を充分に確認しましょう。
ガス種が違う場合は絶対に使っては行けません。
また、店舗ごとにガスメーターの許容範囲が違いますので使えるガスの使用量も決まっています。
最大使用量を超える厨房機器を揃えた場合、ガス供給不足の為に機器が使えなくなります。
その場合は厨房機器の機種を減らすか、容量を増やすためのメーター交換を行えれば解決出来るでしょう。
ガスメーターの容量不足で厨房機器が使えない場合はメーター自体を管理する大阪ガス等のガス販売店等が無償で行ってくれる場合が一般的です。

電気の種類は3種類
電気には、単相100Ⅴ、単相200Ⅴ、3相200Ⅴ(動力)があります。
家庭用で普段使われているのは、単相100Ⅴがほとんどです。
電気もガスと同じように、最大使用量があります。
容量を超えたものや、電気の種類の違う場合は厨房機器は使えません。
また、熱機器の上には、煙や熱を外に出すためのフードが必要ですが、フードは厨房機器ではなく、設備機器なので工務店にご依頼ください。200Vには単相200Vと3相200Vがあり非常に紛らわしいく、混乱を避けるため3相200Vは通常、動力と呼ばれています。

機器を選ぶポイント
業種とメニュー、客席数が分かれば、おのずと必要な厨房機器は決まってきます。
これらの情報がなければ、正しい厨房機器を選ぶのは難しいと言えるでしょう。
例えばですが、家庭用の 2 口のコンロに大きいフライパンを 3 つ乗せることは出来ませんし、2 枚扉の冷蔵庫に 20 人分の食材を3日間分保管することは物理的に無理です。
席数に合った厨房機器を選定することが大切です。
その他にも、1台で十分な冷蔵庫を2台購入してしまったり、3枚扉の冷蔵庫が必要なのに、2枚扉の冷蔵庫を購入してしまう場合もあります。
経験に基づいて、購入する方法もありますが、無理や無駄のない正しい選定を行なうためには、専門業者に相談するのも良い方法だと思います。

業務用の厨房機器は、必ずと言っていいほど、酷使されます。 数年間使っていると、故障するケースも多々ありますので、メンテナンスを考慮するなら国産メーカーを選ぶのが無難でしょう。価格は重要ですがアジア製の安価な厨房機器は故障が多くメンテナンスもほぼ行っていないので避けたほうが良いと思います。
自分で機器を選ぶ方法
参考になる店舗の真似をする
インターネットなどで、情報を収集する
実際に販売店などに行って、現物を見る
メリットとしては、自分のペースでスケジュールに合わせて、機器選定が出来ることです。
デメリットとしては、必要な機器が揃い切らないことがあります。
また、物が揃ったとしても、能力不足や電気容量などが合わず実際には使えないことがあります。左右にゆとりが無い場合、1cm大きいだけでも予定位置に入りませんのでご注意下さい。
業者に頼んで揃える方法
総合厨房の知識を持った、飲食店専門の業者さんや、メーカーの担当者に選んで貰うことが重要です。
図面にもとづいた機種選定が出来るので、寸法違いや、電気、ガスの種類間違いなどを防ぐことが出来ます。
デメリットは、少し割高になってしまうことでしょう。
特に中古の厨房機器を自分で探す場合ですが厨房図面を書けない中古厨房機器販売店さんや単品販売が主な店舗で購入した場合ですが全ての厨房機器が揃わず結果として使い勝手のあまり良くない厨房になる事があります。

費用について
飲食店を開業する時に、厨房機器の予算をどのように計算するでしょうか。
ひとつの目安として、簡単な方法をご紹介します。
その方法は、席数に0をひとつ足す方法です。
例えば、20席の店舗なら200万円、30席なら300万円という具合です。
もちろん、高単価な、スチームコンベンションやエスプレッソマシン、ブラストチラーなどは、それだけで100万円程するので含めていません。
あくまでも標準的な機種を導入した時の目安にしてください。

熱機器と冷機器の購入比率
冷機器は、冷蔵庫や冷凍庫、製氷機などが代表的です。
熱機器は、ガステーブルやオーブンなど、調理をするときに使う機器を指します。
その他は、シンクや作業台などがあります。
冷機器の購入費率は、約50%を占めます。
熱機器は全体の約30%、シンクなどが残りの20%となります。

20席程度の、一般的な飲食店の場合、製氷機が1台、冷蔵庫が2台、ガステーブル1台が基本です。
席数に応じて、冷蔵庫を増やしたり、魚焼き機や、炊飯器が必要です。
食器洗浄機は、ある方が良いのですが、高額なため、席数との兼ね合いを考えて、導入を決めましょう。
主なメーカーのご案内
冷機器メーカー
ホシザキ、フクシマガリレイ、ダイワ冷機、パナソニック

熱機器メーカー
タニコー、マルゼン、その他

中古機器の購入について
予算が、限られている場合は中古品の取り扱いもあり、厨房図面を書くことが出来る総合厨房業者にご依頼するのが良いかも知れません。
程度については新品価格の3割減の、中古品を買い揃えるのが、無難だと思います。
半値以下の中古品は、製造から 10 年以上経過している商品も多くあり、状態は悪いと思った方が良いでしょう。
約5年落ち程度の商品なら、3 割減で買い揃えることが出来るでしょう。